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「熊本市車中泊避難実証実験」に本学情報学部亜原理有教授が協力〜国内初！デジタルとアナログの比較検証を実施〜

2025年12月12日

2025年11月22日(土)〜23日(日)、熊本市南区アクアドームくまもと駐車場において、本学亜原理有教授(情報学部情報学科)の研究チームが熊本市、防災関連企業BosaiTech社とともに、災害時の「車中泊避難」を想定した実証実験を実施しました。

熊本地震では、避難所の収容能力の限界や余震への不安、ペットや小さな子どもへの配慮などから、多くの住民が駐車場などで車中泊避難を選択しました。しかし、車中泊避難者は行政の把握が難しく、支援物資が届きにくいことに加え、エコノミークラス症候群など健康面のリスクも指摘されています。

本実証実験には、市職員や学生など約50名が参加し、車中泊避難エリアで一泊二日の避難生活を体験しました。参加者は、従来型の紙ベースのマニュアルで運営する「アナログ班」と、車中泊避難支援試作システムで運営する「デジタル班」に分かれて実施しました。「デジタル班」では、スマートフォンから二次元コードを読み取り、オンライン調査票で氏名・車両番号・健康状態などを入力し、主催者側はデジタルシステム上で避難者情報を一覧管理し、物資手配や医療スタッフ派遣などの判断に活用する仕組みを検証しました。

実験の結果、デジタル班では食事や体操などのスケジュール通知がスマートフォンに届くことで、避難所運営が比較的スムーズに進む一方、高齢者などスマートフォンの利用が難しい方への配慮や、電源確保などの課題も明らかになりました。アナログ班では、紙ベースの指示のみでは参加者同士のコミュニケーションが取りにくく、活動の進行が遅れる場面も見られ、情報共有と役割分担をどのようにして行うのかという課題が浮き彫りになりました。
また、参加者から「お互いの体調や困りごとを声掛けし合うことの大切さ」や、「行政の支援だけでなく、避難者同士の『共助』の仕組みが必要だ」といった意見が寄せられました。車中泊避難においては、自助・公助に加えて、現場で生まれる共助のネットワークづくりが欠かせないことが改めて確認されました。

本取り組みは、熊本市が国の防災基本計画改定を受けて進めている「車中泊避難者支援マニュアル（仮称）」策定に向けた基礎データとして活用される予定です。熊本市、本学、BosaiTech社の三者は、今回得られた知見をもとに、デジタルとアナログ双方の長所を生かしつつ、実効性の高いマニュアルの今年度中のとりまとめを目指しています。

なお、本実証実験の様子は、熊本朝日放送（KAB）、テレビ熊本（TKU）、FNNプライムオンライン、熊本日日新聞など多くのメディアで紹介されました。

受付風景（デジタル班）

受付風景（アナログ班）

避難食試食風景

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