ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ

TOPキーワード

入試サイト

資料請求

  1. 情報学科・亜原理有教授発案を基盤に、国際共同研究がニュージーランド王立学会に採択されました

学科ニュース

情報学科・亜原理有教授発案を基盤に、国際共同研究がニュージーランド王立学会に採択されました

2025年09月24日

崇城大学 情報学部情報学科亜原理有教授が着想した「車中泊・在宅避難者支援システム」の概念を核に、ニュージーランドの災害文脈へ拡張した国際共同研究が、Royal Society Te Apārangi(ニュージーランド王立学会)のCatalyst Seedingプログラムに採択されました。プロジェクト名は「Cross-Country Co-Design of an Ethical Disaster Evacuee Assistance System」で、Farhad Mehdipour教授(オタゴ・ポリテクニック(オークランド国際キャンパス))を中心に、4か国の研究者・実務者が参画し、2年間にわたり研究開発を進めます。

本プロジェクトでは、Mobile and Home Evacuee Assistance SystemMHEAS)の設計と試作を通じて、従来の避難所中心の支援では把握されにくい「見えにくい避難者(Hidden Evacuees)」へのアプローチを強化します。サイクロン・ガブリエル(ニュージーランド)、能登半島地震(日本)、アール川洪水(ドイツ)など近年の災害では、自宅や車内で避難する人々が多数に上り、医療・物資・情報支援の対象から漏れる課題が顕在化しました。本研究では、こうした人々の尊厳とプライバシーを守りながら、より的確で包摂的な支援につなげるための新たな枠組みを提示します。

技術面では、個人データを手元に保持したまま学習を進める連合学習(フェデレーテッドラーニング)を活用し、プライバシー保護型AIによる状況把握と支援配分の高度化を図ります。あわせて、ニュージーランド・マオリ社会のデータ主権や価値観を尊重する先住民知の枠組みを設計思想に取り込み、文化的妥当性と倫理性を担保したガバナンス指針を整備します。成果として、現場共創に基づくプロトタイプ、倫理フレームワーク、共同論文、将来の社会実装に向けたロードマップの提示を予定しています。

研究体制は、ニュージーランド側で研究代表のFarhad Mehdipour教授(オタゴ・ポリテクニック(オークランド国際キャンパス)研究部長・学部長)が采配を取り、AI倫理とデータ主権における先駆的なマオリの専門家であるKaraitiana Taiuru博士、Keri Ropiha研究員およびMegan Boston上級講師(ワイカト大学)、Raj Prasanna准教授(マッセー大学)、Naz Tavasoli博士(オークランド市評議会)、Aniket Mahanti上級講師(オークランド大学)らが参加します。国際共同研究者として、日本からは崇城大学の亜原理教授(情報学部情報学科)に加え、村上 和彰様(DX Partners代表取締役・九州大学名誉教授)、オーストラリアからBahman Javadi教授(ウェスタンシドニー大学)、ドイツからJürgen Jung教授(フランクフルト応用科学大学)が加わり、学術と実務を横断する学際的な体制を組みます。

本学の亜原理教授が提唱する「車中泊・在宅避難者支援システム」を基盤に、プライバシー配慮型のデータ収集・推論設計、連合学習(フェデレーテッドラーニング)による分散型AI、センサーやモバイル基盤の統合、自治体・企業・コミュニティを含む公民学連携モデルの構築などで研究を牽引します。能登半島地震をはじめとする日本の災害対応経験をユースケースとして移植し、国際比較可能な評価指標の設計にも貢献します。

Catalyst Seedingプログラムは、国際チームによる越境共創型の研究開発を支援し、次段階の大規模実装を行うことを目的とした資金枠です。本学は、地域の実課題とグローバルな知見を結び、誰一人取り残さない人に寄り添うデジタル防災の確立に向けて、産官学およびコミュニティとの協働を一層推進してまいります。(情報・亜原理)

関連ニュース

「SDGs・環境特集」情報学科 亜原理先生の対談など掲載 くまもと経済9月号に掲載
/news/media/2025/250917_006509.html

熊本地震から9年 情報学科 亜原理有教授が熊本市・Bosai Tech(株)と協力し車中泊避難支援へ
/news/media/2025/250415_006320.html