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卒業後の進路

主な就職先は化学業界・環境分析系の企業。製造業も含め、30%以上が進みます。業種としては医薬関連、半導体、一般機械や電気機器、精密機器など多彩。これからの技術社会のキーワードであるナノサイエンスやナノテクノロジーを学んだ学生は、めざせる業界・業種が広いのもポイント。化学分野に限定されることはありません。大学院へも毎年、多くが進学しています。

活躍する卒業生

Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社
CVDプロセスエンジニア

荒木さん
2023年応用化学専攻修了/熊本県・必由館高校出身

荒木さん

グローバルな環境の中で働ける力を身に付けた

世界最大の規模を誇る台湾の半導体受託製造企業・TSMCが熊本に進出。子会社であるJASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社)の熊本工場は、2024年末に量産を始めた。これまでに30名以上の卒業生が入社しているが、第一期生としてその立ち上げに関わっている1人が荒木さんだ。ナノサイエンス学科を卒業し、大学院に進んだ荒木さんは、大学入学当初は半導体分野を特に意識せず、学部生時代は製薬・化学系に興味を持っていた。しかし、TSMC熊本進出のニュースをきっかけに、新たな可能性を見出し半導体分野へと進路の舵を切る。そして「絶対に英語が必要になる」と「SILC(英語学習施設:Sojo International Learning Center)」での英語学習に力を入れ、海外留学や国際学会にも挑戦したという。「会話はもちろんプレゼン能力や資料作成など、幅広い英語スキルが身に付けられ、恵まれた環境でした」と荒木さん。採用試験でのプレゼンや日常業務のやりとりで英語力を発揮でき、自身の強みになっていると語る。現在、荒木さんは、半導体チップの土台となるウェーハの表面に酸化膜を蒸着させる部署で、その工程のメンテナンスやプロセス改善を行うプロセスエンジニアリングを担っている。化学の知識が必要とされる部署で、大学時代に培った知識が大いに役立っている。「台湾の先輩方の背中を追って、JASMに欠かせない人材になれるよう励みたい」と、新時代の始まりに表情を輝かせた。

ローム・アポロ株式会社

本学出身17名

本学出身17名

次世代を担うパワー半導体製造を牽引

世界的に需要が増し続ける半導体。中でも福岡県にある「ローム・アポロ」は、次世代パワー半導体・SiCパワーデバイスの製造を行う企業だ。極小の化学の世界を学んできたナノサイエンス学科卒業生も、その最先端分野で経験を生かしている。回路を書き込むウェーハ製造に関わる、入社1年目の上杉さんは「研究室でも半導体に近い分野を学んでおり、装置の取り扱いに慣れていたことが強みになっています」、中川路さんは「研究室は異分野でしたが、普段の授業から半導体関連の学びが多かったので、自ずと興味を持てました」と語る。化学への興味からナノサイエンス、そして半導体の世界へ入った、入社2年目の長松院さんは、「今後、私たちが手掛けるパワー半導体が牽引する形で、日本の半導体が盛り上がっていければ」と、業界の未来を熱く展望した。

株式会社テラプローブ
九州事業所 設備エンジニアリング部 治工具技術グループ

福島さん
2023年卒/熊本県・東稜高校出身

福島さん

半導体の品質を担保する要 尽きない挑戦で社会を支える

「半導体の原理はナノサイエンスと深く関わっている」と福島さん。幅広い就職実績に魅力を感じ、ナノサイエンス学科へ入学した彼が進んだのは、熊本でも注目の半導体分野だった。ここ「テラプローブ」は、半導体の動作をテストする専門企業で、国内トップクラスのシェアを誇る。半導体デバイス製造の要ともいえる工程を請け負う仕事だ。福島さんが担当するのは、半導体をテストする治工具「プローブカード」に関わる仕事。半導体メーカー・治工具メーカーと共に、その半導体に最も適した工具を評価検討している。海外メーカーとのやり取りで、英語を駆使しながら会議や交渉を行う日々。大学で得た材料や電子に関する知識はもちろん、資格取得や海外での経験を通して課題解決能力も生きていると感じている。大きな責任とやりがいを伴うこの仕事で、さらにAIや最新技術も取り入れることができたらと、その姿勢はとても意欲的だ。

株式会社ナプラ

本学出身2名

本学出身2名

化学の知識を武器に美容業界を盛り上げる

ナノサイエンス学科で得られる最先端の化学の知識は、医療、エネルギー、材料など、驚くほど幅広い分野で生かされる。美容・化粧品分野も、その代表的な分野の一つ。多田さんと仲秋さんが勤めるのは、美容室専売の頭髪化粧品メーカー「ナプラ」。創業70年の歴史あるメーカーで、特にカラー剤においては国内で業界トップの出荷本数を誇る。市販品の「N(エヌドット)」のヘアオイルは近年女性を中心にとても人気だ。共に親が美容師という共通点がある2人が担当しているのは美容代理店・理美容室への商品提案などの営業。「美容師とは違う立場で、自分が学部や大学院で学んだ化学の面から美容業界に携われると感じました」と仲秋さん。「商品に使用されている成分がどう毛髪に作用するか理解する際に、大学時代に身に付けた化学の知識が役立ち、説得力のある提案につながっている」と多田さんも胸を張る大学時代にSAGAS(学生スタッフ)として活動したことで、対話力・傾聴力も身についたと実感しています」。化学の切り口から美容の仕組みを知り、製品の魅力を伝えられる力は、美容業界のトップメーカーの営業として、大いに生かされている。

株式会社野田市電子

本学出身6名

本学出身6名

化学の力で、安心できる環境を守る

明治十一年に馬具商から始まったルーツを持つ「野田市グループ」の中で、インフラ整備から環境、IT、人材まで、時代に応じて事業を展開してきた「野田市電子」。中でも「環境分析事業部」は、土壌や水、作業環境などを測定・分析し精度の高いデータを出すことで、よりよい環境作りへとつなげる社会貢献性の高い事業だ。ここでは「化学」を武器に、卒業生が活躍している。現場で作業環境や騒音振動、土壌環境などを測る「測定課」の橋本さんは、「在学中に化学の専門知識を身に付けられたことが強みになっている」と、今は環境計量士の資格を目指して勉強中。堂ノ下さん・髙原さん・佐藤さんが所属する「分析課」は飲料水や排水などの水質分析を行う。堂ノ下さんは、大学で習得した分析のスキルでお客様の役に立てることに喜びを感じる日々。髙原さんは、在学中に学んだ器具・試薬の扱い方や、実験失敗の際の原因究明のプロセスが生きているという。卒研で環境化学や分析化学に取り組んだ佐藤さんは、「水や空気の安全を確かめることが、熊本の自然環境を守ることにつながる」と仕事の意義を語る。大学で身に付けた化学の力を元に、地域の環境を守り続ける。

ヨネックス株式会社
東京本社 製品開発部

吉竹さん
2019年卒/熊本県・熊本北高校出身

吉竹さん

化学の力で、スポーツをもっと進化させたい

幼い頃からバドミントンをしていた吉竹さんが憧れていた企業が、ここ「ヨネックス」。バドミントンの世界有数企業として、プレイヤーから高い信頼を得ているメーカーだ。「ずっと『どうすればヨネックスに入れる?』と考えていて、ラケットの素材につながる勉強が面白そうだと、ナノサイエンス学科に入学したんです」と吉竹さん。担任の先生に「ヨネックスに入りたい」と相談したり、スポーツ分野に特化した先生に学んだり、就職課で手厚いサポートを受けたりと、長い時間をかけてついに叶った、憧れの会社への就職だった。営業部で3年間の勤務を経て、念願の開発部へ異動した吉竹さん。現在はバドミントンのシューズ開発を担当している。自身が初めてデザインを担当した商品を手に、「シューズはデザイン・人間工学・そして化学と、さまざまな知見を融合させて開発します。中でも素材はシューズの性能に直結する要素。工場の研究員と、化学用語を交わし合うような場面も今後あるかもしれません」と目を輝かせる。化学の力でバドミントンに関われる喜びを語ってくれた。