【講演レポート】教養講座「大久保剛氏」講演要旨
2016年06月21日
2016年6月3日 フンドーダイ(株)元副社長 大久保剛氏講演要旨
◎「生き方」を考える
20年前、悩んでいる人に会って、60歳になったらカウンセリングの勉強をしようと思っていた。昨年、「産業カウンセラー」に合格し、今年、「キャリアカウンセラー」の国家試験を受ける。ところでクイズです。ミシシッピー大学の卒業生に聞いたところ、「大成功」と答えた人はどの位いたか。(学生から「16%」)違う。正解は3%です。「そこそこ成功だった」というのは?(学生から「10%」)大正解です。「普通」と答えたのは?(学生から「50%」)正解は60%です。残りは「人の世話にならないといけない状態だ」と答えている。4人に1人です。
皆さんと同じ年のころ、ものすごく悩んでいた。何を目的に人生を送っていくのか悩んでいた。いろんな友達に聞いたら、皆も「分かっていない」ことが分かった。大学3年のとき、経営学のゼミに入ったら「マズロー心理学」を教わって、身が震えるような感動を覚えた。心理学の一つの流れはフロイトから始まってユング、アドラーとつながっている。第二の流れは行動心理学で、パブロフの犬に始まってアメリカではやった。第三の流れがマズローの人間性心理学だ。
人間はどういう欲求があるか。マズロー心理学の5段階説を考える。一番最初に満たされなくてはいけない欲求は何か。飯を食うなどの生理的欲求、2番目は安全、3番目は愛とか仲間を求める集団欲求、第4の欲求は認められたいとの名誉欲、最後が自分を高めたいとの自己実現の欲求だ。そのとき自分も自己実現を目指して生きていきたいと思った。
ギリシャのソクラテスやプラトンの跡をついで、ニーチェやサルトルが実存主義を唱えた。マズローさんも生きていくことが大事だという考えに立っている。私は43歳のときから、個人目標、家庭目標、会社目標を書き、毎年、更新している。50歳代、60歳代から100歳代まで書くようになった。エドガー・シャインさんは人生の錨(いかり)と思える3つのポイントとして、①自分は何が得意か。才能、能力②自分は何をしたいのか。欲求、動機③何をしていると充実するか。価値観、意味―を挙げているが、私は「60歳代でカウンセラーの勉強をする」と書いていて、それが大体できている。
40歳代で経営に悩んでいるときに稲盛和夫さんの経営哲学と出会った。稲盛さんは「地域で一番と威張っていては駄目だ。世界のライバルと競うぐらいでないといけない」と言われた。稲盛さんは鶴丸高校も落ち、2期校の鹿児島大学に入った。就職してから研究所に泊り込んで研究したら「生意気だ」と言われて、研究所を外されたので、自ら会社を立ち上げた。数億円を出す人がいた。50歳のとき通信自由化になったので携帯電話事業に乗り出しauをつくった。78歳で日航の再建に乗り出した。
松下幸之助もすごい。20歳で関西電力を辞め、電気製品の会社を作った。後にハーバード大学のジョン・コッター教授が「幸之助論」を書いたほどだ。松下さんは、総理になる人を育てようと松下政経塾をつくった。松下政経塾立ち上げの時、政治評論家の田原総一郎氏がインタビューに来て、岩井虔先生は松下さんの横で話を聞かれていたそうですが、田原さんが「どんな人がいいか」と尋ねたら、松下さんは「学問がある人。話す力があるから」「愛嬌がある人。人に好かれるから」「運が強い人」と答えられた。松下家は10人のうち9人が当時の死の病、肺病で10歳の時に父、20歳の時に母と次々に亡くなって27歳までに残りの家族全員がなくなった。松下さんは1人だけ助かったので「俺みたいに運の強いやつはいない」と考えていたという。
サミュエル・ウルマンは『青春』という本のなかで「青春とは心の若さである」と書いている。皆さんも60年後に納得できる人生を送れたらうれしいと思う。何らかの形でライフ・プランやキャリア・プランを作ってみてください。途中で変更してもかまわない。40年やり続けることが大事です。
(文責・井芹)
平成28年度前期 崇城大学教養講座 日程表 |
5.13 |
フルック (ケルト音楽グループ) |
ケルト音楽の現在 |
5.20 |
神田 陽子(講談師・崇城大学客員教授) | 講談「中山義崇物語」~崇城大学創始者に捧ぐ~ |
5.27 |
江守 正多 (国立環境研究所室長) |
気候変動リスクと人類の選択 |
6.3 |
大久保 剛 (フンドーダイ㈱ 前副社長) |
「生き方」を考える |
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熊本発世界ラーメン |
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古庄 忠信 (㈱イズミ車体製作所 会長) |
「気づき」の経営 |
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廣瀬 幸雄 (金沢大学 名誉教授) |
美味しいコーヒーの飲み方 |
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7.8 |
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通説的国会論では理解できない国会のあり方 |
7.15 |
トム・イェイツ(在福岡オーストラリア総領事) |
日本とオーストラリアの教育のパートナーシップのあり方(仮題) |
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あなたを輝かせる源は感動力にある |
(敬称略)