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  1. 【講演レポート】教養講座「太田章氏」講演要旨

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【講演レポート】教養講座「太田章氏」講演要旨

2015年05月20日

2015年5月1日 オリンピック銀メダリスト・早稲田大学教授 太田章氏講演要旨

◎オリンピックにかける夢

オリンピックに4回出るためには16年かかる。23歳で早稲田大学5年生のとき、27歳では早大助手のとき、31歳では子供3人、35歳のときは4人の子供がいたときだった。出会いは奇跡だ。人類70億分の1の出会いだ。指導者や仲間、先輩、後輩との出会いに支えられて今日の自分がある。一番重要なのは、自分の中に住む素質、自分の才能に出会うことだ。

私の生い立ちや経歴を紹介する。4人きょうだいの長男として生まれ、スポーツ万年の少年だった。秋田県は体操が盛んで五輪金メダリスト小野喬さんや遠藤幸雄さんの出身地だが、私も小学6年生でバク転も大車輪もできた。野球は4番で投手、柔道は秋田市で優勝した。それまで柔道一直線だった。中学生の15歳のとき、ギター片手に上京して千駄ヶ谷にあったマウンテン・レコードでたった1枚のLPレコードを作ったりもした。

秋田県はスポーツが盛んだ。自分が日本一になれるスポーツは何かを考えた。高校ではレスリングでチャンピオンになりたいと思い秋田商業高校を選んだ。2ヶ月で、東北で優勝し、5ヵ月後にインターハイで3位、団体優勝した。レスリングに向いている自分に気がついた。「レスリング馬鹿でいいんだ」と言われたのに反発して、生徒会長に立候補して当選した。私のモットーは「2兎を追う者だけが2兎を得る」というものだ。後に電電公社(現NTT)がこのキャッチコピーを使っていた。2兎を得ようと手を伸ばさないと2兎を捕まえられない。私はレスリングもチャンピオンになり、生徒会長として体育祭も文化祭も成功させた。

そこで早稲田大学を受けると言ったら、無謀だと言われた。当時、早稲田大学教育学部教育学科体育学専修には入試に体育実技があった。懸垂25回で合格した。同期入学の瀬古利彦は足で、私は腕で入学した。サッカーの岡ちゃん(岡田武史氏)は体力テストに落ちたので政経学部に行った(笑い)。私がいつも言うのは、貧乏の勧め、ハングリーの勧め。人間、満ち足りるとエネルギーが出てこない。ハングリーに物事に向かっていき、どん欲に続けることこそ目的を達する全ての道に通じる。腹一杯では何も起きない。「求めよ、さらば与えられん」だ。早稲田大学は当時、入試倍率30倍の難関で、入学学生の7割が1浪か2浪だが、入学して1年経って3月になると「大学が自分を変えてくれると信じていたが、何も変わらない」と泣く学生が多数いた。しかし、自分で求めないと何も変わらない。

人生は有限。時間との戦いだから "Keep busy" で、時間を無駄にしないように!というのは、私がアメリカに研修に行ったとき、通訳の日本人女性に教えられた。年齢が高齢になれば残された時間は少ない。目標を達成するには、3Rの法則がある。筋肉を鍛えるトレーニング法と同じだ。Repetition 繰り返し、Resistance 負荷をかける、そして、Rest 休むこと。中でも休むが最も重要。それに加えるとすると、ムダ、ムラ、ムリのダラリの法則を!それらを排除することだ。それも頭でなく、身体で覚えていくことが大事だ。

早稲田大学のエクステンション・センターには60歳過ぎでレスリングを始めた女性や、69歳でマスター選手権出場5年目の男性、今年はなんと75歳の新人レスラーが入って来た。アメリカの片足のレスラー、アンソニー・ロブレスも素晴らしい。レスリングは苛酷なまでにコンタクト・スポーツであり、道具やボールが介在しない。裸の人間同士がぶつかり合うスポーツ。皆さんも何でもいいので、生涯学習、生涯スポーツを始めてみませんか。

オリンピック選手はいろんな点で幸せを運ばなければならない。秋田商業高校で目標であり、ライバルである先生と出会ったことが、自分がここまで来れた原点だ。人との出会いの大切さを痛感すると、社会人のための楽しいレスリングをモットーにやっていきたい。「勝ち負けより夢を持ち続けることが最大の財産です」というのが『男の鳥肌名言集』(角川書店)に採用された。これからも、そう言い続けたい。

(文責・井芹)

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平成27年度前期 崇城大学教養講座 日程表
4.24 神田 陽子  (講談師・崇城大学客員教授) 日本の話芸~講談「真田幸村 大阪入城」~
5.1 太田 章 (五輪銀メダリスト) オリンピックにかける夢
5.8 橋本 五郎  (読売新聞東京本社特別編集員) 政治は本当は面白い
5.15 三遊亭 歌之介  (落語家) 出会いから学んだこと
5.22 澤岡 昭  (大同大学学長) 国際宇宙ステーションと活躍する日本人飛行士
5.29 村嶋 恒徳 (剣道七段・茗溪学園教諭) 一剣士が伝えたいこと~剣の技と絵の心~
6.5 内田 亮子   (早稲田大学教授) 暴走するヒト~からだ・心・言葉の進化を考える~
6.12 松元 崇 (元内閣府事務次官 第一生命経済研究所特別顧問) 日本経済再生の方程式
6.19 大桃 美代子  (タレント) 才能は地方で輝く!!~一次産業を生かすアイデア~
6.26 石川 智久  (大阪医科大学客員教授) 遺伝子研究の最前線
7.3 宇都宮 健児 (前日本弁護士連合会会長) 私の弁護士人生
7.10 植松 努  (植松電機専務取締役) 「思うは招く」~夢があればなんでもできる~

(敬称略)