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  1. 崇城大学を卒業・修了される皆様へ

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崇城大学を卒業・修了される皆様へ

2020年03月20日

告辞

令和二年三月二十日
崇城大学
 学長 中山 峰男

 この度、新型コロナウィルス感染症の拡大防止のため、急遽、卒業式の挙行を取り止めることにいたしました。当初は、規模を縮小し、卒業生と教職員のみで行う予定でありましたが、感染症の猛威は拡大を続け、卒業式においてもそのリスクを回避できないと判断し、誠に残念ながら、断腸の思いで決断させていただいた次第であります。

 4年前、卒業生の皆さんは、突然熊本を襲ったマグニチュード7.3の巨大地震により、恐怖のどん底に陥れられたことと思います。特に、4年課程の卒業生の皆さんにとっては、まだ、入学して間もない、新鮮な喜びと楽しさに満たされた、4月14日と16日の夜でありました。さらに、今回、卒業式を新型コロナウィルス感染症に妨げられる事態となり、悔しい思いが募っていらっしゃることと拝察します。我々教職員も、やるせない気持ちでいっぱいであり、極めて遺憾に思っています。しかしながら、皆さんは、地震においても立派に乗り越えてこられましたので、今回も冷静に受け止めていただき、前向きに未来へ向かって羽ばたいてくれることを願ってやみません。


 さて、自然界に春の息吹が感じられる今日のよき日に、崇城大学大学院修了証書ならびに崇城大学卒業証書を授与することができ、この上ない慶びであります。論文の審査、および厳しい最終試験に合格し、晴れて「博士」ならびに「修士」の学位を得られた大学院修了生の皆さん。皆さんの栄誉に対し、心からお祝い申し上げます。皆さんが、「博士」・「修士」の学位を修得されたことは、科学分野、芸術分野に、一生懸命取り組んでこられた研鑽のたまものであり、本学の誇りでもあります。また、本日、蛍雪の功なり、栄えある「学士」の卒業証書を得られた学部卒業生の皆さん。皆さんは学業のみならず、各プロジェクトや留学、ボランティアなど様々なアクティビティにも積極的に挑戦し、驚くほどの人間力を身に付けてくれました。その姿は、四年或いは六年前の入学時に比べ、本当に逞しくなったと誇らしく思っています。卒業生の皆さんおめでとう。衷心よりお祝いを申し上げます。


 ところで、4年前の熊本地震を振り返りますと、突然の大きな揺れと共に、多くの家屋が倒壊し、18万人を超える方々が避難所や車中等での不便な生活を強いられることになりました。そのような中、本学の多くの学生が、自ら被災したにもかかわらず、困っている方々のために自発的に、積極的にボランティア活動を行ってくれました。卒業生の皆さんも様々な活動を行ってくれたことと思います。避難所になっている学校の校長先生から、本学の学生が行った献身的なボランティアに対するお礼状が沢山届きました。私は、礼状をいただく度に、それを読みながら、感動し、涙が込み上げてくるのを抑えることができませんでした。また、やむを得ず、他県の実家に帰省した学生諸君も、それぞれの地域で一生懸命募金活動をしてくれました。その活動がそれぞれの地方新聞紙に報道されている記事を見て、また涙がこみ上げてきました。その他にも、皆さんが行なってくれたボランティア活動や震災対応に関する便りが、沢山、沢山、届きました。その度に、私は、ただただ、頭の下がる思いでいっぱいになり、皆さんに心から感謝し、皆さんを誇りに思いました。皆さんにとって、この大震災は生涯忘れることのできない、つらい思い出になるかもしれません。しかし、そのような非常事態の中にあっても、多くの方々と助け合い、支え合って困難を乗り越えることができたと思います。そこには人の絆があり、人の優しさ、人の温かさを感じることができたのではないでしょうか。困った人を見て、思わず助けようとする心は、仁愛の心であり、孔子の教えの中で、最も高い徳であると言われています。その仁愛の心を、震災の体験の中で、十分に感じ取ることができたのではないかと思います。どうか、皆さんは、この経験を活かし、思いやりの心を忘れず、人を大切にし、人類に貢献できるような人生を歩んでくれるよう期待したいと思います。

また、保護者の皆様。子供さんのご卒業、誠におめでとうございます。
親元を離れ、身の回り一切を自分で律しながら学生生活を送った子供さんが多く、ご心労もあったことと思いますが、逞しく自立した姿をご覧になって、さぞかし安堵されていることと思います。重ねて、お祝い申し上げます。
ただ、今回、卒業式を挙行することができなかったこと、残念至極であり、誠に申し訳なく思っております。どうかご理解を賜りますようお願い申し上げます。


 さて、皆さんが船出しようとしている社会は、第4次産業革命と言われている通り大変革の時代を迎えようとしています。大容量通信5GとIoTにより全てのものがつながり、かつ、人工知能AIや超高速機能の量子コンピュータが、それ等をコントロールするようになるであろうと予測されています。従って、モノづくりは、農業や水産養殖も含めどんどん自立化していくことになり、移動には自動操縦のドローンが使われるようになるかもしれません。お金はデジタル・マネーになり、ものの所有はシェアへと変化し、社会の価値観そのものが大きく変わるのではないかと言われています。まさに、新時代の到来を予見するものであります。しかしながら、その一方で、このような華やかな新時代とは異なった負の未来も予測されています。それは地球温暖化等による環境問題と人的開発による生態系の悪化であります。地球温暖化はCO2の蓄積によるものであり、自然災害を招く原因ともなっています。CO2の削減は植物に頼っているのが現状であり、その光合成さえも、未だ人工的に作ることができていません。さらに、生物の種の絶滅は、恐竜時代の絶滅スピードと同じ速度で進行しているといわれています。まさに人類の危機が迫りつつあるのです。
このように、様々な難題が横たわっていますが、時代は、それでも未来への道程を確実に前進しながら、しかも短期間で社会変革を遂げて行くことになると思います。そこで、卒業生の皆さんにお願いしたいことは、より良い未来を築くために、皆さん自身が主体的に課題解決に参画してほしいということであります。過去、明治維新がそうであったように、世の中全体が大きく動くとき、また社会の価値観が大きく変化するとき、そのエンジンは常に若者が担ってきました。多様で素晴らしい未来創出のためには、若者一人ひとりの積極的な参画が極めて重要なのであります。即ち、今、若い皆さんの力が強く求められているのです。是非、未来課題への取り組みに参画してください。それは決して難しいことではありません。一歩前に進むよう心掛ければ良いのです。自分は、何をしたいのか。自分にとって何が大切なのか。自らに問えば、その答えは既に皆さんの心の中にあると思います。人生は一度しかありません。老いて人生を振り返ったとき、悔いのない、そして自分に誇れる生き方を歩んで欲しいと思います。是非ワクワクするような、夢や目的を探し求め、未来づくりに参画してほしいと思います。時代が大きく変革を遂げるとき、成功の方程式はありません。未知の世界に挑戦する勇気こそが重要であります。皆さんがその勇気を持って、奮起すれば、令和の新時代を創生することができると信じています。人のためになり、人に感謝される、遣り甲斐のある夢を持つよう心掛けてください。


 最後になりますが、皆さんは、ここ崇城大学において素晴らしい友人を沢山得ることができたと思いますが、どうか生涯の友として友情を分かち合っていいただきたいと願っています。そして、是非本学を訪ねて来てください。教職員一同また皆さんとお会いできる日をお待ちしております。
皆さんのご活躍とご多幸を祈念して告辞といたします。




送辞


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答辞


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