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  1. 【講演レポート】教養講座「秋山幸二氏」講演要旨

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【講演レポート】教養講座「秋山幸二氏」講演要旨

2016年08月04日

2016年7月1日 ソフトバンクホークス前監督 秋山幸二氏講演要旨
◎私の野球人生

Q(菅野詩朗氏):せっかく崇城大学に来たので、熊本時代はどうでしたか。
A(秋山幸二氏):ここ(崇城大学)でも試合をやっている。野球場があるでしょ。
Q:八代高校時代には九州大会で優勝、熊本大会で準優勝だったとか。
A:高校に入った時「背が高いから、ピッチャーやれ」と言われた。その時のチームが3年生まで行った。野球は一人ではできない。いい友達がいた。
Q:地震の後、八代には帰った?
A:実家はまだブルーシートがかけてある。ほかもなかなか復旧が進まない。

Q:プロ野球に入ったとき、まず4年間だけやるというのは決めていたのか。
A:入る世界をよく知らなかった。プロ野球は1チーム70人。1軍登録が28人。毎年ドラフトで10人近く入ってくるので、辞めなきゃいけない者が出てくる。選手寿命は7年か8年と短い。その中でいかに長くできるかを考えていかなくてはならない。
Q:西武ライオンズに入った時の感想は?
A:レベルの高さ、技術の高さ、体力の強さにショックを受けた。田淵幸一さんが阪神から西武に移ってきていたが、バットを腹の上に乗せてひょいと打つと全部スタンドに入っていてショックだった。2軍監督になった時、新人が入ってきてやはりショックを受け、何をしていいか全くわからないのを見て、「何をやるべきか」を話した。「ああしたい、こうしたい」というのはあるが、自分が足りないところを見つけることができないからだ。
Q:カルチャー・ショックを受けた?
A:プロ野球2年生の時、アメリカ留学したのが大きい。3Aのチームに入り、4月から5ヶ月で150試合、休みは月2、3回、バスで10時間移動という過酷さだ。レベルが高く、肩も強い。次の年は1Aに行った。ある日、荷物をまとめて帰ってこない同僚もいた。月額8万円ぐらいでオフではアルバイトをしている。アメリカはすごく厳しい世界だ。それで西武からダイエーホークスにトレード話があった時、「えっ」とは思ったが、すぐに「分かりました」と返事した。
Q:西武ライオンズでは広岡達朗さんが率いていた。
A:野球にはV9を達成した巨人時代の後、西武が8回優勝、6回日本一という西武時代があった。うち3回優勝させたのが広岡監督。「こういう時は、こうしなさい」というのを文章にしたのが広岡さんだ。書いたのを渡されて、そこから選手が想像力を働かせる。イメージ力が必要だ。それが欠けていると伸びない。「次はカーブかな」「配球はどうかな」と先読みができないと駄目だ。
Q:観察力というのが秋山監督の強みですね。
A:私がプロ野球に入った時は、先輩に「ここ、どういうバッティングするんですかね」と聞くと「何でお前に教えなきゃいけないんだ。お前が身につけたら俺の仕事がなくなる。人に聞くな。目で盗め」と言われた。それで一生懸命見るようになって、観察力が身についた。

Q:ソフトバンクは、今年は強い。みな秋山さんが育てた選手ばかりだ。
A:監督業というのは、選手とまた違う。野球監督は会社の社長と一緒だ。結果を求められる。まず勝つことが必要だ。勝つためにはいい選手を育てないといけない。ドラフトやトレードも考えながら戦力をキープしていく。
Q:選手の時は自分のことを考え、監督の時は他人のことを考える。
A:オーナーの孫正義さんに聞くと「優勝しなさい」と一言。「頑張ります」と言うしかない。それがまず僕に課されたことだったが、僕は常勝チームを作りたかった。コーチも一緒になって情報を一本化して、選手がすっと伸びて、迷わないでいい体制を作った。
Q:監督室には全選手のネームプレートが貼ってあるとか。
A:ソフトバンクには選手は84人いた。2軍、3軍の全試合、全選手の情報をすべて集める部署があり、すべてiPadで見られる。細かい分析もできる。
Q:それでも自分の目で確かめないと気が済まない?
A:信用しないわけじゃないですよ。でも情報はたくさん集めたい。そして情報を処理するのは自分の責任。それで最後は自分の目で確かめたいとなる。
Q:秋山さんは「何でも鵜のみにせず、自分の言葉でしゃべらないと駄目だよ」と言われていた。
A:3割打者と言っても、7割は失敗している。例えば盗塁でも、失敗して帰って来ても怒らない。「どうして走ったの」と聞く。「ピッチャーのモーションが大きい」「キャッチャーの肩が弱い」「変化球だった」「ボールだった」など、いろいろ「ほー」「ほー」と言える部分があったらいい。「行っちゃえと思いました」だけでは駄目だ。
Q:たくさん理由がなきゃいけない。
A:何をするにもいろんなことを考える選手であってほしい。監督としてサインを出す時もいろんなことを考えて出した。ピッチャーは一球ごとに考えて投げなきゃいけないし、打者も一球ごとに考えを変えていく選手が成績を残している。
Q:野球は楽しむものでしょう。
A:うーん、そうですね。僕にとって野球が楽しいのは一瞬。ホームランを打った、盗塁成功した。「よっしゃ」となる。でも次に行かなくてはならない。立ち止まってはいられない。次の準備に入る、そういう世界がプロだ。でも皆さんは野球を楽しんでほしいな。
(文責・井芹)


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5.27 江守 正多 (国立環境研究所室長) 気候変動リスクと人類の選択
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(敬称略)