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  1. 【講演レポート】教養講座「廣瀬幸雄氏」講演要旨

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【講演レポート】教養講座「廣瀬幸雄氏」講演要旨

2016年07月15日

2016年6月24日 金沢大学名誉教授 廣瀬幸雄氏講演要旨
◎美味しいコーヒーの飲み方

皆さんは疲れている。なぜ疲れるか。ストレスで疲れる。「好み」について2100人のアンケートをし、これを多変量解析した。日本人のコーヒーの好みはY=A1X1+A2X2+A3X3という方程式で表される。A1はコク、キレ、スッキリ感、A2は甘さ、フルーティー(な香り)、A3は酸味、苦味だが、日本人は甘い香りと甘さが好きだ。これは日本人が疲れているためで、ストレスがあることが多変量解析で分かった。スターバックスが出しているコーヒーはまさにそういうコーヒーだ。東京でスタバやタリーズなど7軒の店を回って1日20杯飲んでスタバのコーヒーが右肩上がりの位置になった。
美味しいコーヒーを知ってもらう前にコーヒーの味を決める因子がどこにあるかを話したい。コーヒーの生豆を焼くと少しずつ大きくなって溶けてくる。ハニカム(蜂の巣)構造という。コーヒーの味や香りの成分はどこにくっついているかというと、このハニカム構造の細胞壁と繊維質についている。豆を焼くことを「焙煎(ばいせん)」というが、重要なのはハニカム構造の細胞内には炭酸ガスが入っているということ。コーヒーを入れたとき泡立つのはこの炭酸ガスが出てくるからだ。
おいしいコーヒーの飲み方の第一はドーム。泡のことをドームと言う。中の炭酸ガスは焙煎してから1か月、粉にしてから1週間で酸化が始まる。炭酸ガスが出てしまうと外から酸素が入って好気性菌と酸素が結合して酸化が始まる。青江三奈は古いコーヒーを好んでいたが、これはよくない。豆や粉を買ってきたらできるだけ早く飲むのがよい。
入れ方にはサイフォンとかドリップがある。ドリップは成分が溶けて重力で落ちてくる。これに対してサイフォンは成分が中に溶けだして濃くなる。ドリップは縦の味ですっきりしている。サイフォンは横の味で、いろんな味が好きな人に向く。トップノートというのがある。10gで100cc出したとき、最初の30ccがトップノートと言われる。残り70ccは普通の味だ。トップノートは自分で飲むか、好きな人にあげるのがいい。
カフェインは覚醒作用や利尿作用があり、少量なら骨密度も増える。骨になるためにはコーヒー2,3杯がちょうどいい。100ccのコーヒーの中にカフェイン0.1gが入っている。カフェインの致死量は日量3~4gと言われるのでコーヒーを毎日30~40杯飲んだら駄目です。
クロロゲン酸はガンになりにくくする。コーヒー3~5杯飲むと、肝臓がんや大腸がんは4分の1になるという研究結果がある。NHK番組の『ためしてガッテン』に出たとき、古いコーヒーは電子レンジでチンすれば大丈夫と発言したら、インスタント・コーヒー業界が喜んだ。高級なコーヒーが高いのに、普通のコーヒーは500gで1000円という安いものもある。こういうコーヒーの焙煎は100kg単位で行われる。もしこれだけの量を1kg単位でハンドピックすると2000時間にもなるから高くなる。ベートーベンは毎日60粒の豆を自分でハンドピックしていたという。100ccのコーヒーに1個の欠陥豆を入れても味が落ちる。コーヒーの抽出温度は何度がいいか。「90℃がいい」と言う人がいるが、実は90℃はよくない。75℃がいい。60℃でもよくない。コーヒーに微粉が混じるのも味がまずくなる。美味しいコーヒーというので最近開発したのが水素焙煎コーヒーだ。

最後に言いたいのは、私は45年間、教師をしてきたが、どういう教師がいい教師かということ。乃木希典は「やらせて、ほめるのがいい」と言っているが、私自身は「相手の心に火をつける教師が一番いい教師だ」と思うようになった。もう一つ、メモをつけるノートを紹介したい。年に100冊以上になる。今年は38冊目だ。1冊のノートにアイデアも情報も書く。それで年に500個のアイデア、1万個の情報を得ることができる。現在の私があるのは、このノートのお陰だ。
(文責・井芹)


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平成28年度前期 崇城大学教養講座 日程表
5.13 フルック (ケルト音楽グループ) ケルト音楽の現在
5.20 神田 陽子(講談師・崇城大学客員教授)講談「中山義崇物語」~崇城大学創始者に捧ぐ~
5.27 江守 正多 (国立環境研究所室長) 気候変動リスクと人類の選択
6.3 大久保 剛 (フンドーダイ㈱ 前副社長) 「生き方」を考える
6.10 重光 克昭(重光産業㈱ 社長) 熊本発世界ラーメン
6.17 古庄 忠信 (㈱イズミ車体製作所 会長) 「気づき」の経営
6.24 廣瀬 幸雄 (金沢大学 名誉教授) 美味しいコーヒーの飲み方
7.1 秋山 幸二 (ソフトバンクホークス 前監督) 私の野球人生
7.8 向大野 新治 (衆議院 事務総長) 通説的国会論では理解できない国会のあり方
7.15 トム・イェイツ(在福岡オーストラリア総領事) 日本とオーストラリアの教育のパートナーシップのあり方(仮題)
7.22 相田 美砂子 (広島大学 副学長) コンピュータで進める化学と男女共同参画
7.29 高光 りょうすけ (感動教育家) あなたを輝かせる源は感動力にある

(敬称略)