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プレスリリース

新視点のゲノム操作により、これまでにない酵母菌を創る NEDOプロジェクトに採択!

2018年09月06日

報 道 関 係 各 位
                   

新視点のゲノム操作により、これまでにない酵母菌を創る
NEDOプロジェクトに採択!



 本学 生物生命学部応用微生物工学科原島俊教授浴野圭輔准教授は、このたび、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「植物等の生物を用いた高機能生産技術の開発」の研究テーマのもとで公募のあった研究助成に応募し、採択をされました(※1)。 崇城大学と日揮株式会社、奈良先端科学技術大学院大学の3つの機関で「ロバスト性微生物(※2)およびシンプル生産プロセスの開発」の研究テーマで応募していたものです。

※1:スマートセル関連技術の社会実装推進に向けた先導研究として全体で 8 テーマが採択されました。
※2:用語解説:ロバスト性微生物とはストレスに対して耐性を持つ強靭な微生物のこと

【世界的な背景と崇城大学の研究】
 近年バイオテクノロジーを用いた経済活動は、"BioEconomy"と呼ばれ、世界的にも多くの国で政策提言に取り上げられています。こうした背景のもと、NEDOでは、植物や微生物の細胞が持つ物質生産能を最大限に引き出した細胞、「スマートセル」、を構築し、化学合成では生産が難しい有用物質の創製、又は従来法の生産性を凌駕する「スマートセルインダストリー」の実現を目指したプロジェクトを進めています。 
 原島教授と浴野准教授は、従来の突然変異技術によっては分離が成功していない「複合ストレスに耐性の酵母」の育種を目的として、これまでに提案されたことのない「異数体育種工学」と命名した全く新しい育種技術を提案しました。

【異数体育種工学とは】
 異数体とは、正常な染色体構成と違って、特定の染色体の数が増減している細胞であり、体細胞分裂や減数分裂における染色体の不均等分離によって生じます。ヒトでもっともよく知られている例は、21番染色体が正常な2本ではなく3本になるために起こってくるダウン症候群です。また、近年、がん細胞の旺盛な増殖能が、異数性や倍数性に起因することがわかってきました。このように異数性は、通常、ヒトなどでは好ましくない表現型を引き起こす一方、植物や微生物では、異数性によって人類にとって有用な形質が現れた例も知られてきています。異数体細胞においては、染色体が1本ないし数本丸ごと増減することから、非常に多くの遺伝子の発現バランスが大規模に変化するため、通常の正倍数体では現れない形質が出現したためであろうと考えられています。
 原島教授のアイデアは、これまで変異株の分離に用いられてきた1倍体(酵母の1倍体細胞は16本の染色体を持つ)ではなく、10(染色体数160本)ないし12倍体(染色体数192本)などの"超"高次倍数体を親株とし、さらに、染色体の不均等分離を促進する微小管重合阻害剤も使うことにより、天文学的な種類の異数体細胞集団を誘導し、そうした多様な染色体構成と大規模発現変動を示す異数体細胞集団より、複合ストレスに耐性となった変異株をスクリーニングするとのアイデアです。

図1.png

【これからの研究展開】
異数体育種工学は、これまで誰からも提案されたことが無い視点でアプローチする研究テーマです。異数体工学の確立を通して、スマートセルインダストリーの実現に、基礎研究を行う大学が応用研究を行う企業とチームを組むことで、技術の社会実装が可能となり、持続可能な社会の構築に貢献できることを願っています。


■詳しいお問い合わせ
生物生命学部応用微生物工学科
担当者: 教授 原島 俊
TEL: 096-326-3837(直通)
FAX: 096-326-3000
MAIL: harashima@bio.sojo-u.ac.jp