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【講演レポート】教養講座「山川烈氏」講演要旨

2017年01月20日

2016年9月16、23日 崇城大学副学長 山川烈氏講演要旨
◎グローカル時代を悔いなく生きるために


グローカルとは、グローバルとローカルを合わせた造語で、物事を世界的視野で考えると同時に、地域性も持つということである。ローカルだけでは「井の中の蛙、大海を知らず」になってしまう。世界的視野だけでは、自分の本来の姿を見失う。
これは風刺画家ビゴーが、鹿鳴館時代の日本人を描いたものだ。外見は洋服でも、中身は生意気な猿まねだと言っている。日本人が誇りや自信を失って、世界に迎合しているのを批判したものだ。今の日本はそれに近いところまで来ている。プロとしての自信、日本人としての誇りを持って活躍することが必要だ。

孫子の兵法に「敵を知り己を知らば百戦殆(あや)うからず」とある。自分と外国の両方を知れば、百戦殆うからずとなる。専門分野の場合も、専門分野をいくつも学んでおくといい。上っ面だけでは駄目で、一つ一つ深く知ることが必要だ。
これは4年間だけの話ではない。一生かけてやることだ。4年間では、専門知識を深めなくてはならない。視点が高くなると視野が広くなり、物の本質が見えてくる。高い山に上れば遠くまで見えるのと同じだ。そのためには、大学院に行ってもらいたい。学力の高い大学ほど大学院への進学率が高い。マスターや学部卒だけで活躍している人もいるが、本当に勝負したい人はドクターコースまで行ってもらいたい。私自身はマスターの時は奨学金をもらっていたが、ドクターの時は就職して通った。

「こと」は琴(きん)ではなく箏(そう)が正しい。奈良時代に中国から渡来した弦楽器だ。桐の木を天日に干して乾かし、裏をくり抜く。箏の表面に施された「綾杉紋(あやすぎもん)」は、表面積を増やすためだ。表面を焦がし、糠を振りかけて布で磨くときれいな模様が出る。糸は絹糸で、余った糸のまとめ方が生田流と山田流では違う。
もう一つ違うのは箏爪で、生田流の爪は角があるので男爪と言われ、弾くときに箏に対して斜めに座り爪の角で弾く。それに対して山田流の爪は丸く女爪と言われ、箏に対しまっすぐに座って爪の真ん中で弾く。楽譜も縦譜と横譜の違いがあり、めくる方向が反対になる。3オクターブの音が出るが、弦は13本しかなく、箏柱(ことじ)の間を抑えて中間の音を出す。

(宮城道雄作曲、筝曲「五十鈴川」演奏)

尺八は7世紀の奈良時代に中国から伝来した。当初は6孔だったが、いまは5孔だ。禅宗の中の普化宗の虚無僧が吹いていた。日本には約600種類の竹があるうち、真竹(まだけ)を使う。長さが1尺8寸で「尺八」と言う。1尺6寸のもある。孔に竹の節が来ないように、竹を採るときは専用の物差しを当てて、使えるかどうか判断する。吸い口(歌口)は、吹いているうちにふやけてくるのを防ぐため、水牛の角で作る。
いろんな形があるが、音には関係ない。尺八から音が出る原理は、気流が物に当たるとその後ろに渦(うず)ができる。カルマン渦という。その粗密波が周囲に伝わって、音として聞こえる。息の方向、息の強さ、開口部(孔)で音を変える。同一音階でも違う音色を出すことができる。私のは黒沢琴古の琴古流だが、他に都山流がある。歌口の形や譜面の縦横が違う。

(吉沢検校作曲、箏と尺八の楽曲「千鳥の曲」演奏。作者不詳、尺八本曲「一二三鉢返しの調」演奏)

(文責・井芹)


平成28年度後期 崇城大学教養講座 日程表
9.23 山川 烈 (崇城大学副学長) グローカル時代を悔いなく生きるために
9.30 川﨑 博 (ホテル日航熊本社長) 二つの仕事を体験して思うこと
10.7 神田 陽子 (講談師・崇城大学各員教授) 講談と遊ぶ・学ぶ(まねぶ)
10.14 上村 春樹 (講道館長) 指導者の役割
10.21 山下 泰雄 (通潤酒造(株)社長) KPPと一緒にブルーオーシャンへ~造酒屋の冒険~
10.28 姜尚中 (政治学者・熊本県立劇場館長) 大学で学ぶべきこと
11.2 阿部 富士子 (造形作家・扇研究家) 知られざる「扇」の世界
11.11 ナヌーク (グリーンランド音楽グループ) 氷と雪に閉ざされた極北の大地グリーンランド
11.18 佐藤 允彦 (ピアニスト・作曲家) コミュニケーション・ツールとしての音楽
11.25 辺 真一 (コリア・レポート編集長) 東アジア情勢をどう考えるか
12.2 バイマー ヤンジン (チベット声楽家) 私の見たチベットと日本
12.9 飯田 敏博 (鹿児島国際大学副学長) カフェ・シーンから学ぶ映画と文学
12.16 米澤 房朝 ((株)ヨネザワ代表取締役社長) 夢は必ず実現する

(敬称略)