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  1. 【講演レポート】教養講座「重光克昭氏」講演要旨

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【講演レポート】教養講座「重光克昭氏」講演要旨

2016年06月29日

2016年6月10日 重光産業社長 重光克昭氏講演要旨
◎熊本発世界ラーメン
  
毎月22日は何の日か。そう、味千ラーメンのお客様感謝デーです。この日は一杯300円です。私が生まれたのが、味千ラーメン創業の年です。いま私は48歳ですから創業から48年になる。創業当時は忙しくて、生まれたばかりの時は構ってもらえなかった。工大高(現文徳高校)に入り、エスカレーター式に熊本工大(現崇城大学)に入った。高校、大学を通して野球に熱中した。構造工学科に入って「ラーメン工法」というのを知った。天草五橋の一つがそれで造られている。
  
一番最近オープンしたのはモンゴルのウランバートルだ。国は広いが、人間は少ない。人より羊の数のほうが多い。モンゴルと熊本の共通点は馬を食べるという点だ。独特の飲み物に馬乳酒がある。とにかく臭い。おもてなしで回されるので息を止めて飲んだ。この店しかないメニューに「ラム・チャーシュー・ラーメン」がある。羊の肉を入れてあって意外にうまい。
  
味千の歴史は1968年に県庁前にわずか7坪、8席の店からスタートした。味千は「医食同源」を基本理念に商品開発をしてきた。トンコツ(豚骨)から味を取る。茶色い油を乗せる。中細麺で低加水の固い麺を使う。塩もミネラルの多い精製塩で、ニンニクも相性がいい。
いま海外には13か国・地域に687店舗ある。7月にはサイパン、12月にはヨーロッパに出店しローマの空港ターミナルに出る。2015年6月、TBSが放送した外食産業の海外展開ランキングで1位になった。2位は吉野家、3位はモスバーガーだ。
   
海外展開が最初から成功したわけではない。展開したのは1994年からだ。最初に台湾に行ったが、問題が起きたのは麺だった。オープンを急いだため現地生産せざるを得なくなったが、食感が違った。妥協してはいけないところで妥協したのが問題だった。台湾の人と共同で運営したが、彼らは「スプーンすりきり一杯」とマニュアルに書いていても、適当に入れる。粉体と塩水、油の3種類の調味料を別々に入れなければいけないのに、1つのコップに入れていて「こっちが効率がいい」と言うのだが、本来の味が出ない。ちゃんと教育しきれなかった。
2番目の失敗は北京に出店したことだ。国営企業との合弁だったが、中国側が「味千」という名前は「味の素」を連想すると言って反対し、「麺愛麺」となってしまったり、やはり出資比率が10%しかなかったことで主張が通らず、経営も中国式になってしまい失敗した。3番目の韓国も当初はうまく行っていたが、少しもうかり出すと若い経営者は店に出なくなり、行き詰まった。
  
こういう失敗があった後に、いつからうまく行ったか。リッキー・チェンとの出会いが大きかった。1995年ごろ「香港で味千ラーメンをやりたい」と言ってきた。彼は東京に留学したことがあり、通訳なしで話せたのがよかった。彼は今では味千から離れて「板前寿司」というチェーン店を展開している。何年か前に大間のマグロの初ぜりで、「すしざんまい」が1億5000万円で競り落としたとき、最後まで競り合って話題になった人物だ。2人目のキーマンはデーシー・プーンだ。彼女は熊本県と香港の経済交流で熊本の企業視察に来たことがあり、うちの製麺工場を視察した。製麺工場を現地に作りたいと考えていた時に、彼女は「自分が中国に倉庫を持っている。そこで作ったら」と言ってくれた。当時は父(注・重光孝治氏)も元気でやっていたが、病気で倒れた。末期ガンで余命3カ月と宣告された。リッキー、デーシーと3者会談をして「急いでやろう」と一致した。幸い父も奇跡的に一時よくなり、香港1号店の開店に出かけて行った。翌1997年2月に亡くなった。海外展開したいという父の執念が実り、それを見届けて逝ったのだと思った。香港ハンセン市場での上場も実現した。
   
私たちが一番大切にしていることは「先義後利」。最初から利益を考えていくとうまくいかない。相手の利益を考えてやると、やがて自分たちの利益になる。先代の父が残した思いは「世界中にラーメン大好き人間を作りたい」ということだ。
(文責・井芹)
  
   
DSCF1229重光克昭氏20160629.JPG     
    
平成28年度前期 崇城大学教養講座 日程表
5.13 フルック (ケルト音楽グループ) ケルト音楽の現在
5.20 神田 陽子(講談師・崇城大学客員教授)講談「中山義崇物語」~崇城大学創始者に捧ぐ~
5.27 江守 正多 (国立環境研究所室長) 気候変動リスクと人類の選択
6.3 大久保 剛 (フンドーダイ㈱ 前副社長) 「生き方」を考える
6.10 重光 克昭(重光産業㈱ 社長) 熊本発世界ラーメン
6.17 古庄 忠信 (㈱イズミ車体製作所 会長) 「気づき」の経営
6.24 廣瀬 幸雄 (金沢大学 名誉教授) 美味しいコーヒーの飲み方
7.1 秋山 幸二 (ソフトバンクホークス 前監督) 私の野球人生
7.8 向大野 新治 (衆議院 事務総長) 通説的国会論では理解できない国会のあり方
7.15 トム・イェイツ(在福岡オーストラリア総領事) 日本とオーストラリアの教育のパートナーシップのあり方(仮題)
7.22 相田 美砂子 (広島大学 副学長) コンピュータで進める化学と男女共同参画
7.29 高光 りょうすけ (感動教育家) あなたを輝かせる源は感動力にある

(敬称略)